コラム

充実管理加算・外来データ提出加算を算定できない理由と対処法【2026年度版】

公開日:2026年10月9日 最終更新日:2026年10月9日 監修:藤崎 淳矢(ライフケアコンパス事業責任者)

充実管理加算・外来データ提出加算は、届け出れば算定できるわけではありません。届出から算定開始までに、試行データの提出などのステップがあり、算定を始めたあともデータ提出が続きます。算定できない原因を、「どの段階で止まっているか」で整理し、対処法を解説します。

  • POINT 1

    止まる段階は3つ

    ①届出、②試行データ、③算定開始後のデータ提出。どこで止まっているかを確認すれば、対処法がわかります

  • POINT 2

    期限切れに注意

    届出期限から算定開始までは最短でも4〜5か月。期限から逆算して動く必要があります

  • POINT 3

    データ作成の負担

    様式7の10を届け出たあと、データ作成の負担が大きく、先に進めなくなるケースがあります

目次

1. 算定できない原因は、どの段階で止まっているかで分かれる

充実管理加算・外来データ提出加算を算定できない原因は、届出・試行データ・算定開始後のデータ提出の3つの段階に分けて考えるとわかりやすくなります。算定開始までは「様式7の10の届出 → 試行データの提出 → 様式7の11の届出」の流れで進み、算定開始後もデータ提出が続きます。

段階

起こりやすいこと

本記事の章

① 届出

届出期限に間に合わず、次の回に持ち越しになる

2章

② 試行データ

様式7の10を出したが、データ作成が進まず提出できない

3章

③ 算定開始後

年8回のデータ提出に手が回らず、算定が止まる

4章

2. 【届出】期限切れに注意する

様式7の10の届出期限は年4回で、2026年度の次の期限は2026年11月20日です。期限に間に合わないと次の回に持ち越しになり、算定開始は2か月遅れます(11月20日の次の回は2027年2月22日)。届出期限から算定開始までは、最短でも4〜5か月かかります。

2026年度の届出期限は、次のとおりです。

回

様式7の10の届出期限

算定開始(最短)

第3回

2026年11月20日

2027年4月

第4回

2027年2月22日

2027年6月

※第4回は、試行データの提出期限が2027年4月30日で、5月に様式7の11を届け出て、6月から算定を開始する流れです。

期限の直前になって慌てないよう、院内で次の3つを早めに決めておくと安心です。

  • 届出の担当者(事務局からの連絡がすべて届くメールアドレスの持ち主)

  • データ作成の担当者と、作成の方法(手入力か、自動作成か)

  • 試行データの対象となる2か月分の期間

様式7の10は、施設基準を満たしていなくても届け出られます(様式7の11の時点で満たしていれば問題ありません)。基準の準備と並行して、まず期限までに届け出ることが大切です。

3. 【試行データ】様式7の10を出したのに、データ作成で止まる

様式7の10を届け出たあと、データ作成の負担が大きく、試行データを提出できずに断念する医療機関があります。届け出ることは簡単でも、2か月分の試行データを作る段階で手間の大きさに気づくためです。患者数が多い医療機関ほど、負担は大きくなります。

事務局の入力支援ソフトで大変になる点

試行データの提出用ファイルは、事務局が配布する「外来データ提出支援ツール」で作成します(提出できるのはこのツールから出力するファイルに限られます)。外来様式1(FF1)は、事務局の「外来様式1入力支援ソフト」を使うか、民間企業が提供しているソフト(ライフケアコンパスもこのソフトのうちの一つです)を使って作ります。
事務局の「外来様式1入力支援ソフト」を使う作業には、次のような特徴があります。

  • レセプト請求ファイルは取り込めません。取り込めるのは、事務局の「取込ファイル定義書」に沿ったテキストファイルだけです。電子カルテ等から定義書どおりにファイルを出力できない場合は、患者1人ずつ、データを手入力することになります。

  • 前月のデータをコピーする機能がありません。操作マニュアルでは、前月分を書き出して受診年月などを書き換え、取り込み直す方法が案内されています。難しい場合は、あらためて入力します。

  • 形式チェックでエラーが残ると、提出用ファイルを作成できません。入力が必要な項目の抜けや、入力値の誤りを、すべて直す必要があります。

  • そのため、対象の患者数が多いほど、作業の量が増えます。

断念しても、手続き上の影響は小さい

試行データを提出しなくても、辞退の扱いになるだけで、連絡は不要です。ただし、辞退したあとは、事務局から今後の手続きについて連絡が来るまで、次の回の様式7の10を届け出られません。「次の期限にもう一度」とすぐに再挑戦できない点には注意してください。

断念を避けるために、届け出る前に考えておきたいこと

  • 試行データの対象は2か月分で、算定開始後は年8回の提出が続きます。試行データだけ乗り切れればよいわけではありません。

  • 自院の対象患者さんの数から、1回あたりの入力にどれだけの時間がかかるかをおおまかに見積もっておきます。

  • 手入力が難しいと感じたら、届け出る前に、データ作成を自動化する方法を決めておくと、途中で止まるリスクを減らせます(データ作成の負担を減らすには)。

4. 【算定開始後】データ提出の手間が続く

算定を始めたあとも、データ提出は年8回(通常の提出4回+疑義確認による再提出4回)続きます。事務局の外来様式1入力支援ソフトでは、3章の手間が毎月かかり、提出が遅れると、提出期限の月の翌々月から算定できなくなります。

遅延等の詳しい条件は、記事1「算定手順とスケジュール」にまとめています。ここでは、算定が止まる原因となる主なパターンだけ整理します。

状況

起こること

期限までに提出できなかった

提出期限の月の翌々月から算定できなくなる。あらためて期限どおりに提出できれば、その翌々月から算定を再開できる

1年間に遅延等が合計3回あった

様式7の12(変更の届出)が必要になり、届け出た月の翌月から算定できなくなる

事務局からのメールを見落とした

疑義確認の案内に気づかず、再提出が遅れる

実際に、算定を始めたものの、毎回のデータ作成に手間がかかりすぎ、外来様式1入力支援ソフトから、別のソフトに乗り換えたいというご相談も受けています。

5. 加算1はいつから算定できる?

新しく届け出た医療機関は、まず充実管理加算3(10点)から算定を始めます。加算1(30点)・加算2(20点)は、データ提出後の1年分の実績で決まるため、届け出てすぐには算定できません。

たとえば、2026年11月20日に届け出た場合、実績に基づく区分での算定は最短で2028年10月からです。区分の決まり方や、2027年3月31日までの経過措置については、「充実管理加算とは?点数・算定要件・加算1〜3の違い」(記事2)で解説しています。

6. 自院の状況チェックリスト

算定が進まないときは、次の項目を上から順に確認してください。最初に「いいえ」になった項目が、止まっている段階です。

  • ☐ 様式7の10を、期限までに届け出ましたか?(2章)

  • ☐ 「様式7の10受領手続き完了のお知らせ」メールは届いていますか?(届出から2週間〜1か月程度)

  • ☐ 試行データの対象月(届出期限の翌月から2か月分)を把握していますか?

  • ☐ 試行データを、提出期限までに作成・提出できましたか?(3章)

  • ☐ 合格後の「データ提出事務連絡」を受け取り、様式7の11を届出先を確認して届け出ましたか?

  • ☐ 算定開始後のデータ提出の担当者とスケジュールを決めていますか?(4章)

まとめ

算定できない原因は、届出・試行データ・算定開始後のデータ提出のどこかにあります。チェックリストで、止まっている段階を確認してください。

  • 届出は期限切れに注意が必要です。次の期限は2026年11月20日で、算定開始までは最短でも4〜5か月かかります。

  • 様式7の10を出したあとに、データ作成で止まるケースがあります。レセプトの請求ファイルはそのままでは取り込めず、前月のデータをコピーする機能もありません。

  • 算定開始後も年8回の提出が続くため、届け出る前に、データ作成の方法を決めておくことが重要です。途中からの乗り換えも可能です。

届出の手順と期限は、記事1「算定手順とスケジュール」、点数や区分の違いは記事2「充実管理加算とは」をご覧ください。

Q&A

よくある質問

Q

様式7の10を届け出たあと、データ作成が間に合いそうにありません。どうすればよいですか?

A

提出期限までに提出しなければ、辞退の扱いになります。連絡は不要です。ただし、事務局から今後の手続きについて連絡が来るまで、次の回の様式7の10は届け出られません。間に合わない見込みがある場合は、早めに自動化の方法を検討してください。

Q

試行データの審査では、何を見られますか?

A

厚生労働省は、試行データが「適切に作成及び提出されている」ことを確認し、問題がなければ「データ提出の実績が認められた」として事務連絡を出します。具体的な合否の基準は公表されていませんが、提出前に形式チェックでエラーがない状態にしておくことが前提です。エラーの内容は、事務局の「エラーコード一覧表(2026年度仕様)」で確認できます。

Q

提出する前に、データのエラーは確認できますか?

A

できます。外来データ提出支援ツールの「形式チェック」で、入力が必要な項目にデータがあるかなどを確認できます。エラーが残っていると、提出用ファイルは作成できません。

Q

試行データの作成は、いつまでに始めればよいですか?

A

対象月(届出期限の翌月から2か月分)の診療が終わってから作成します。たとえば2026年11月20日に届け出た場合、2026年12月・2027年1月分が対象で、提出期限は2027年2月25日(木)12時です。月末の診療が終わったあとに、すぐ作業に入れるよう準備しておくと安心です。

Q

手続きについて、どこに問い合わせればよいですか?

A

  • 施設基準・届出・算定について:管轄の地方厚生(支)局

  • データの作成・提出について:外来医療等調査事務局(メール:support@gairai.jp)。件名の先頭に施設コード(9桁)を書いてください。電話での問い合わせは受け付けていません。

データ作成の負担を減らすには

データ作成の負担で止まらないためには、レセプトの請求ファイル(UKEファイル)から外来様式1を自動で作る方法が効果的です。ライフケアコンパスの「外来データアシスト」は、外来様式1の約9割を自動で作成し、エラーや不備もチェックします。事務局の外来様式1入力支援ソフトでデータを作り始めた後の乗り換えもでき、これまでに作った外来様式1ファイル(FF1)をアップロードすれば、入力をやり直す必要はありません(アップロード期間の制限はなく、算定開始後も過去分にさかのぼれます)。
なお、ライフケアコンパスが担当するのは外来様式1(FF1)の作成で、提出用ファイルは、事務局の「外来データ提出支援ツール」で作成します(外来EF・Kファイルも同ツールで作成)。

監修者

藤崎 淳矢(コガソフトウェア株式会社 EIMサービス部 部長)の顔写真

執筆:藤崎 淳矢

コガソフトウェア株式会社 EIMサービス部 部長/ライフケアコンパス事業責任者/関西医科大学 研究員

生活習慣病の患者さん向けヘルスケアサービスの開発や効果検証に携わる。経済産業省、スポーツ庁、AMED(日本医療研究開発機構)など、国や自治体が主導するヘルスケア・スマートシティ関連のプロジェクトで、プロジェクトリーダーやコーディネーターを歴任。医療・健康分野でのデータの利活用と社会実装に取り組んでいる。2026年9月には、第45回日本臨床運動療法学会学術集会で「PHRアプリ利用による生活習慣病の重症化予防の効果検証」をテーマに登壇。