大阪府阪南市
松若医院
院長 松若 良介 様
2026/9/29 06:36
「充実管理加算」算定の真の意義は“診療の質の担保”
【施設概要】
医療機関名: 松若医院(大阪府阪南市)
診療科: 内科、小児科、循環器科
規模: 生活習慣病患者数 約800名
2024年の診療報酬改定で新設された「生活習慣病管理料(Ⅱ)」への移行。それに伴い、多くの開業医が頭を悩ませているのが「外来データ提出加算・充実管理加算」への対応ではないでしょうか。
大阪府阪南市で地域医療を支える松若医院は、約800名にも上る生活習慣病患者を抱えながら、市内唯一(※インタビュー時点)となる「充実管理加算」の算定を実現しています。
「当初は開業医には無縁の領域だと思っていた」と語る松若院長。算定への高いハードルをどう乗り越えたのか、そしてコガソフトウェアが提供する「ライフケアコンパス」の導入が、クリニック経営や患者さんにどのような変化をもたらしたのか伺いました。 「大病院向け」の先入観を覆した『ライフケアコンパス』による省力化
――現在、生活習慣病管理料の対象となる患者さんはどのくらいいらっしゃいますか?
松若先生 当院は高齢の患者様が多く、全体で大体800人ほどいらっしゃいます。前回の改定で特定疾患療養管理料から生活習慣病管理料へ移行した形です。
――それだけの人数となると、療養計画書の作成だけでも膨大な業務量になります。外来データ提出加算・充実管理加算の算定には、当初から前向きだったのでしょうか?
松若先生 いえ、最初は全く考えていませんでした。2年前に生活習慣病管理料の要件などが変わった際、同時に「外来データ提出加算」ができたのを見ましたが、「これは一開業医が手の出る領域じゃない。はるか上の大きな病院でやることだ」と関係ないものだと思っていました。
しかし、コガソフトウェアさんの「ライフケアコンパス」を活用することで、その壁を越えることができました。厚労省の書式をベースに、当院向けにカスタマイズしたシステムを作っていただき、療養計画書の作成をかなり省力化できたんです。「『ライフケアコンパス』の機能を使えば、外来データ提出加算もいけるのではないか」と考え、2025年の8月頃から準備を始め、10月に申請して算定をスタートさせました。
「充実管理加算」算定の真の意義は“診療の質の担保”
――充実管理加算の算定に踏み切った理由や、その意義についてもう少し詳しく教えてください。
松若先生 最も大きな理由は、ガイドラインをしっかり守り、かかりつけ医として患者さんに長く通院していただくための「診療の質の担保」です。ただ点数を取りに行くのではなく、患者さんの治療効果を高めるためのプロセスとして捉えています。
診療報酬改定以前は50点だった加算が30点に変更されるなどの動向の変化はありましたが、それでも当院にとっては新しい制度に取り組む十分なモチベーションになりました。
――充実管理加算は要件が厳しく、算定を躊躇するクリニックも多いのが現状です。
松若先生 おっしゃる通りです。充実管理加算は、生活習慣病管理料で求められる要件を「当院はきっちり行っていますよ」とデータとして国に提出し、認められて初めて算定できるものです。
しかし、「ライフケアコンパス」を使えば、患者さんの運動記録などの生活習慣データを電子カルテの横で一覧でき、それをそのままデータとして吸い上げてもらうことができます。我々のようなIT専門の人間がいないクリニックにとって、このシステム連携の手軽さは非常にありがたい話でした。データに基づいた質の高い医療を提供しているという、患者さんへの強力なアピールにもなっています。
「ライフケアコンパス」が実現した「薬以外の処方」
――「ライフケアコンパス」のPHR(パーソナルヘルスレコード)アプリを患者さんに使っていただくことで、日々の診療はどのように変化しましたか?
松若先生 現在、対象患者さんのうち200〜300人ほどが「ライフケアコンパス」のPHRアプリを使ってくれています。今までも血圧手帳を見せてくれる患者さんはいましたが、それはただの「数字の羅列」でした。今はアプリを通じて、運動の実績、体重、歩数などが可視化されます。
患者さんが来院されたときに、「最近歩いてないね」「頑張ったから血圧が下がったね」と、結果だけでなく“努力の過程”を評価できるようになりました。患者さんも「先生がアプリのデータを見てくれている」と思うと、やる気を出してくれます。
――患者さんの行動変容に直結しているのですね。
松若先生 はい。私は生活習慣病の高齢患者さんが「フレイル(虚弱)」にならないことを非常に重視しています。今まで元気だった人が歩けなくなっていくのを見るのは辛いものです。「ライフケアコンパス」のアプリを使って運動習慣をつけてもらうことは、まさに「薬じゃない処方(フレイル処方)」だと実感しています。
スタッフを「アプリ係」に任命。手当還元で生まれる好循環
――高齢の患者さんにアプリを使ってもらうための院内運用は、どのように工夫されていますか?
松若先生 最初はコガソフトウェアのスタッフに手取り足取り教えてもらっていましたが、今では看護師2名を「アプリ係」に任命し、当院だけで対応できるようになりました。アプリのマイナートラブルや操作の質問などは、彼女たちがその日のうちに解決してくれています。
――充実管理加算による収益面(費用対効果)についてはいかがでしょうか?
松若先生 システム導入による費用対効果という点では、この加算だけで大儲けしようとは思っていません。得られた収益は、アプリ運用を頑張ってくれている従業員のベースアップなどに充ててインセンティブとして還元しています。
クリニック全体で取り組み、スタッフにもしっかり還元する。そうすることで、スタッフのモチベーションも上がり、ひいては患者さんへの指導の質も向上するという良いサイクルが回っています。
データ提出は、今後のクリニック経営における「マスト」になる
――最後に、充実管理加算やデータ提出加算の算定を検討している先生方にメッセージをお願いします。
松若先生 今回の診療報酬改定で、国は日本中の患者さんのデータをビッグデータとして集めたいという明確な意図を示しています。精神科などではすでにデータ提出が義務化されているように、今後は内科クリニックにおいても、データを提出しないと減算の対象になるなど「マスト」な時代がやってくるでしょう。
「データ提出なんて大きな病院の話だ」と敬遠せず、「ライフケアコンパス」のようなシステムをうまく活用し、スタッフと協力できる体制を作れば、開業医でも十分に算定は可能です。患者さんが運動習慣を身につけ、元気に通院し続けてくれることは、我々臨床医にとって最大の喜びであり、クリニックの経営安定にも直結します。ぜひ、前向きに取り組んでみてはいかがでしょうか。
――本日は貴重なお話をありがとうございました。
【インタビュー動画】
Youtube「診療報酬りゅうチャンネル」で、この松若先生へのインタビュー動画も公開されています。併せてご視聴ください。